『「学力」の経済学』(著者:中室牧子)概要と感想 悩んでいるお母さんにおすすめ

書評

『「学力」の経済学』(著者:中室牧子 出版:ディスカヴァ―・トゥエンティワン)。

『「学力」の経済学』は、大規模なデータから学力と経済との因果関係を分析した結果が書いてある本です。

「経済学」ってなんか難しそうな感じがしますが、この本はそうではないんです。

私はこれまで子どもの教育についての情報を積極的に集めていました。例えば、雑誌「クーヨン」や脳科学の久保田カヨ子さん、七田式、花まる学習会や石田勝紀さんの講演会などなど。

そんな私がこの本を読んでまず思ったのは、

書いてある内容をもっと早くに知りたかった!子どもが生まれてすぐに読みたかった!

ということ。

実験から得られたデータに基づいて書かれているので、信ぴょう性が高く納得できる内容でした。

教育の情報の海におぼれて、疲れている私みたいなお母さんに読んでもらいたい本です。

Kindle Unlimitedでも読むことができますよ。

『「学力」の経済学』の概要

著者の中室牧子さんは慶應義塾大学で、教育経済学の調査・研究を実施されています。

そのコンセプトは、「教育に科学的根拠(エビデンス)を」。

この書籍は、中室さんが絶対的に信頼をおいている「データ」を用いて教育を経済学的に分析し、明らかとなった結果をまとめた本です。

著者は、子育て専門家や教育評論家の主張は科学的根拠がうすく、その裏づけとなる証拠がしめされていないと言います。

根拠のない指導法やノウハウよりも、科学的なデータから得られたエビデンスに基づく子育てを推奨しています。

日本が国として教育分野への実験を取りいれた研究にもっと力を入れるべきだとも述べています。日本はその部分に力を入れていないことが残念です。

この本への思いは、著者・中室牧子さんの言葉に込められています。

私は、教育評論家や子育ての専門家と呼ばれる人たちを否定したいわけではありません。しかし、彼ら がテレビや週刊誌で述べている見解には、ときどき違和感を拭えないときがあります。なぜなら、その 主張の多くは、彼らの教育者としての個人的な経験に基づいているため、科学的な根拠がなく、それゆえに「なぜその主張が正しいのか」という説明が十分になされていないからです。

私は、経済学がデータを用いて明らかにしている教育や子育てにかんする発見は、教育評論家や子育て専門家の指南やノウハウよりも、よっぽど価値がある―むしろ、知っておかないともったいないことだとすら思っています。

『「学力」の経済学』著者・中室牧子(株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)

いままで正しいと思われてきた教育論が本当にそうなのか。

教育について新しい視点を与えてくれる本です。

なるほど!と思うポイント

本には「ふむふむ」と付箋をつけて読んだ箇所がたくさんありました。その中からいくつかをご紹介します。

子どもに勉強をさせるために”ごほうび”で釣ってもいいの?

『「学力」の経済学』にこんなことが書いてあり、驚きました。

テストでいい点を取ったらごほうびをあげる「目の前のニンジン作戦」は効果がある

「え、そうなの?」って思いました。

なんだかご褒美でつるのは良くないとどこかの本で読んだ気がしたんだけど・・・

でもそれは「No」であるときちんとした実験によるデータで証明されているのです。

ご褒美を与えて、勉強してもらうのはOKだそうですよ。

ごほうびを与えるのはテストの点数がよかったとき?それとも読書をしたとき?

ほかにもこんな結果が述べられていました。

ご褒美は、「テストの点数」などのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して与えるべきだ

『「学力」の経済学』(著者:中室牧子 出版:ディスカヴァ―・トゥエンティワン)

どうして「テストの点数」によってご褒美をもらえると言われた子どもより、「本を読む」「宿題をする」といったインプットをする方がよかったのでしょうか。

それはテストの点数を上げることを条件にした場合、子どもたちは「テストの点数を上げるために何をしたらいいか」がわからなかったからだそう。

つまり、どうやって点数を上げるアウトプットをしたらいいかわからず、行動に落とし込めなかったから。

それに対して、「本を読む」「宿題をする」のは、ご褒美をもらうために何をしたらいいかが明確です。

だから、すぐに行動することができ、結果にも表れやすいということ。

宿題をしたり本を読んだらご褒美がもらえるのですから、やるべきことが分かりやすいですよね。

そんな理由からインプットの方がアウトプットにご褒美をあげるよりも、学力向上の結果が出たということです。

もっと早く知りたかったこの答え

子どもが何歳のころに教育投資するのが一番リターンが大きいのか?

私がこの本の中で一番知りたかったことです。答えをお伝えしますと、

もっとも収益率が高いのは、子どもが小学校に入学する前の就学前教育(幼児教育)です。

『「学力」の経済学』(著者:中室牧子 出版:ディスカヴァ―・トゥエンティワン)

だそうです…理由はぜひ本を読んでみてくださいね。

他にもたくさんのデータによる分析結果が書いてあります。これまでぼんやりと感じていた疑問についての答えが出ているんです。

それが1人の子どもの体験ではなく、多くの子どもから得られたデータなので、信ぴょう性と再現性が高いと言えます。

読めば読むほど、「ほ~」となりました。

感想

子ども授業の様子の画像

『「学力」の経済学』は親や先生、クラスメート、日々の習慣といった環境が与える影響についてを解析されたデータが多く集められています。

これまで私は、子どもが生まれてからいろいろな教育論の本を読んだり、講演会を聞きに行き、情報を集めていました。

でも子どもに試しても長続きしなかったし、なんだかしっくりこなかったんです。

それに加え、自分自身の経験を子どもにも当てはまるだろうと考えていました。

私はうまくいったのに、なんで違うの~?

一人一人違うのが当たり前なのに、教育になるとつい視野が狭くなってしまうのでした…

客観的な視点から教育やしつけについて語られている本です。
自分の考え方を見直すきっかけにもなりました。

子どもの教育について悩まれている方がいたら、ぜひ読んでみてください。

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