キャリアとお金の専門家 合田菜実子さんに聞く「18歳までに知っておきたいお金の話・仕事の話」

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2023年3月に『教えて合田先生!18歳までに知っておきたい お金の授業』 を出版された合田菜実子ごうだなみこさん。お金の知識を持つことの必要性について、日本初のキャリアコンサルタントの上田晶美さんと合田さんが対談を行いました。対談の内容をレポートします。

出版してお金の知識を広めたい

上田晶美さん(以下、上田):今回、どういうきっかけでこの本を出版されたのですか。

合田菜実子さん(以下、ごうだ):出版社の担当の方から依頼をいただきました。以前に私が共著で出版した本『お金にまつわるそもそも事典』が小学校5年生の国語の教科書で推薦図書に選ばれていて、多くの方に読まれています。その本の編集担当の方から「18歳くらいの若い人に向けて、普段行っている授業をそのまま本に書いてみませんか?」とお声がけいただいたんです。 若い世代に対してお金の知識を広めるチャンスだと思って、引き受けました。

上田:最近、学校や地域社会で「お金についての教育」のニーズが高まっていると感じます。

ごうだ:2022年度から高校の家庭科の授業で、「金融経済教育」が必修となりました。それに伴い、私も授業をしてほしいと声をかけられることが増えたんです。私は高校だけでなく、大学での講義もしています。実は本音を言うと、お金の知識は高校生までに全員に学んでもらいたいと思ってるんです。

 なぜなら、大学になると必修科目以外は、自分で授業を選択することになります。金融経済教育に関する授業を選択した学生にだけにしか、内容を届けることができません。でも中学や高校の場合、生徒全員が金融経済教育の授業を受けてくれるのがいいと思っています。生徒のみなさん、お金の話にとても興味を持って聞いてくれます。

18歳までにお金の知識をつけてもらいたい理由とは

上田:「18歳までに知っておきたい」とタイトルについていますね。「18歳」の年齢をタイトルに入れた理由を教えてください。

ごうだ:ご存知のように、成人年齢が18歳となり「大人」としてできることが増える年齢となりました。18歳を超えると保護者の承認がなくても、スマートフォンやクレジットカードの契約ができます。一人暮らし用の部屋を借りたり、ローンを組むこともできるようになります。

 お金を借りることは悪いことではありません。返せる金額のお金であれば、ですが。ただしお金を借りると金利が発生するので、金利の知識をもっておいてほしいです。何も知らずに軽い気持ちでリボ払いを選んでしまい、14-15%の利息がつくということもあります。

 残念ながら世の中には18-19歳くらいの人を狙って、詐欺のような契約を持ちかけてくる人もいて、実際にトラブルが増えています。それで18歳になるまでに必要なお金の知識をつけてほしいと思い、タイトルに入れました。

働いて稼ぐことの意味

上田:私のところには多くの学生が就職活動の相談に来ます。この本には、給与から支払われる社会保険料や税金についても触れられています。給与が「月額20万円」と書かれていても、自分の口座に振り込まれる額面はそれより少ない金額ですよね。そんなことも知っておいてほしいので、これから社会に出ようとする学生たちに、ぜひこの本を読んでもらいたいです。

 それと本には、働くことについても触れられているのがすごくいいなと思いました。ごうださんは、私と同じくキャリアコンサルタントとして、働く意義を伝える役目も担われていますよね。

ごうだ:はい、本にも「働いて稼ぐお金」の章も設けています。仕事というのは、働くことでお金をもらうことです。学校を卒業後は、多くの人は仕事につきます。人生の中で仕事にあてる時間はとても長いです。だからこそ、仕事自体が「生きがい」や「生きる意味」にもつながるような未来を選んでほしいと思っています。そしてお金を稼いで、上手に使っていってほしいなという想いをもっています。

上田:人生100年時代と言われています。学校を出て最初に就く仕事の雇用形態はその後の人生に大きな影響を与える可能性があります。そのことをよく考えて、職業を選んでほしいですね。

ごうだ:「生涯賃金」は雇用形態や職種によって異なります。残念ですが、賃金格差は存在しているので「知らなかった」という理由であとから後悔してほしくないと思っています。

 私は、18歳になるまでの方にこの本を読んでもらいたいのですが、同時にその親御さんにもぜひ読んでもらいたいと思っているんです。そしてさらには、本で知った知識を周りの人にも広めて、お金にまつわる知識がたくさんの人に届くことを願っています。

―――この対談の様子はYouTubeでもご覧いただけます。

プロフィール

合田菜実子さん
ファイナンシャルプランナーとキャリアコンサルタントの2つの資格を生かして活動を行う「お金とキャリア教育の専門家」。2006年にCFPを取得後、お金の相談業務や講師として活動。「お金のことだけでなく働くことについても授業で話をしてほしい」という学校現場の要望をきっかけにキャリアコンサルタント資格を取得。「お金とキャリア教育の専門家」であるという意味を込めて「マネキャリサポーターⓇ」と自らの役割を登録商標し、活動を行う。

上田晶美さん
日本初のキャリアコンサルタント。株式会社ハナマルキャリア総合研究所 代表取締役。大学非常勤講師。「仕事の悩みをゼロにする」ことを目標に活動。これまで受けた相談は2万件を超える。企業研修、女性就職支援、大学での就職活動支援などを通し、多くの人の仕事の悩みに答える。

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